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20の倍数がSSを書くスレ

740 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/11/03(木) 18:50 ID:???
なんか困っていらっしゃるようなので、気に入るかどうかわかりませんが
【よみみたR】

741 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/11/03(木) 18:51 ID:???
はぁ、はぁ、はぁ。
ようやく校門までたどり着くと、一息つく。
慌てて逃げ出してきたけれど。
こんな時簡に、一体誰が。

夜の学校。
英語の宿題が出されたんだけど、不覚にも教科書を忘れたから、取りに戻ったんだ。
そしたら、教室は真っ暗だったのに何かがうごめく音がするじゃないか。
おまけに何かくぐもった女の人の声。
それが嬌声だと気付いた時、私は音の主も確かめないまま、全速力でその場を遠ざかっていた。
越せそうだけど躊躇してしまう壁の、向こう側の世界。
今でも心臓がドキドキしている。
「あれ、よみちゃん。こんなところでどうしたん?」
「おふぁぁ!」
突然声をかけられて、びっくりして振り向くと大阪がいた。

「せやったんか。なるほどなぁ」
事の経緯を説明すると大阪は大きく頷いた。
「全く、うちの生徒に学校をホテル代わりに使うような奴がいるなんて意外だよ」
思わずため息が出る。
「生徒やないと思うけどな」
「は?」
私が首をかしげかけたら、着メロが流れた。
私のじゃない。
「ちょっとまっとってやー」
大阪が胸ポケットから携帯を取り出す。
「もしもし、春日ですー」
……時間にして一分くらいだろうか。
その間に、大阪は一瞬だけちらりとこちらを見た。
なんなんだろうと思ったから聞いてみた。
「誰から?」
でも、大阪ははぐらかした。
「いや、なんでもあらへん。気にしたらあかん。それより、そういうことなら宿題一緒にやらへんか?
よみちゃんは教科書を見ることができる。私はよみちゃんに宿題教えてもらえる。二人ともハッピーや」
そのありがたい申し出に、私もはぐらかされることにした。
今から教室に戻って件の音の主と鉢合わせするのも嫌だし、時間を置いたら学校は鍵がかけられてしまう
だろうし、そのことに比べたら、こちらをちらりと見たことなんてどうでもいいことだったから。

742 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/11/03(木) 18:51 ID:???
大阪の家は思ったより近くにあった。
大きさも、ちよちゃん家と比べたら小さいが、うちよりは大きい。
大阪は鍵を開け、私を中に入れてくれた。
私は「お邪魔します」と言ったけれど、何も返答がなかった。
「今日はお父さんもお母さんも帰りが遅いねん」
「そうなんだ」
「せや、コーヒー淹れて来るから、私の部屋で待っとって。階段あがってすぐ右の部屋やねん」
「あ、おかまいなく」
私はそう言ったけど、大阪は廊下の奥に吸い込まれていった。
仕方なく1人で階段を上り、「AYUMU」と書かれたプレートの下がったドアを開ける。
が、中は真っ暗だったので、やっぱりドアの前で部屋の持ち主を待つことにした。
間もなく大阪が階段を上って来て、電気をつけてくれた。
小さなカラーボックスに、飾り気のない木の机。レモン色のシーツのかかったベッド。
意外に普通の部屋だった。
もちろん机の横に鎮座する信楽焼のたぬきを除けばの話だが。
大阪はひとまず机の上にお盆を置くと、小さなテーブルを引き出してきた。
「まぁ、座って」
コースターを机に置き、その上にコーヒーカップを乗せた。
「ありがとう」
いろいろあってのどが渇いていた私は、とりあえず口をつけた。
「……コーヒーってこんな味だっけ?なんかちょっと苦いような」
「コーヒーなんだから苦いのは当たり前やん」
「うーん、そうじゃなくて、うまくいえないんだけどなんかコーヒーの苦味と違うような。それに匂いも
ちょっと変な気がする。なんかまとわりつくような甘ったるい香りが混じってるっぽい」
「ふーん」
「ところでこの部屋、なんか暑くないか?」
「ふーん」
ふと顔を上げると、大阪が嫌な笑顔を浮かべていた。

743 :蛍石 ◆tzCaF2EULM :2005/11/03(木) 18:52 ID:???
そこはかとない危険を感じて立ち上がろうとして、思わずよろけた。
身体に力が入らない。
おまけに異常に暑い。
いや、違う。
私の身体が熱いんだ。
細い腕が、蛇のようにぬるりと首を絡めとる。
何時の間にか大阪は私の後ろに回りこんでいた。
不意に、耳に熱い息が吹きかけられる。
「ひゃ……」
思わず声が漏れた。
「ごめんな、よみちゃん。教室で愛しあっとったのはゆかり先生とにゃも先生やねん」
「なっ」
「ほんでな、私は二人のネコやねん。さっきも実は呼び出されてましたー。よみちゃんに見られたから急遽
中止の電話が入ったけどなー」
「じゃあ、さっきの電話は」
「せや。で、見たのがよみちゃんだって話をしたら、媚薬使ってええからこまして口封じしなさいって言わ
れました」
大阪の指が、襟口から泥棒みたいに忍び込んできていた。
「で、でも私は今まで先生たちなんて知らなかった」
「わかっとる。でも、2人は見られたと思っとる。ちょうどいいから便乗したんや」
「び……んじょう?」
「私もタチやりたいねん。イかされるだけは嫌やねんで」
普段とはぜんぜん違う、ねっとりとした艶やかな声。
「大丈夫。悪いようにはせぇへん。早く観念して身を任せてしまったほうがえーで?」
そんなこと言われても。
躊躇していると、不意に大阪が私の唇を吸った。
もう、頷くしかなかった。
曇りかけた眼鏡を外して机に置いたところで、理性が消えた。
だから、大阪が「にゃもちゃんに教えてもらった技で、たっぷりかわいがってあげるから」って言ったのは、
夢か現かわからない。
(Fin)

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