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20の倍数がSSを書くスレ
501 :
メジロマヤー
◆HFDLMAyar6
:2004/02/14(土) 11:28 ID:???
「Love Letter」(即興で書いてきました)
時計の針は午前1時を少し過ぎたところである。
かおりんはまだ机に向かって今からあるものを書こうとしている。それは宿題でも明日
の予習でもない。彼女の最愛の人である榊に宛てたラブレターだ。
「榊さん……」
小さく最愛の人の名前を呟き、深呼吸をしてから、机の上に置いてある便箋と向かい合
いサインペンを右手に持った。
「榊さん、私はあなたのことが大好きです……って、こんなストレートに言えないわ。そ
れにたった1行で語りきれるほどじゃないし……。もっと私のこの深い想いが伝わるよう
に書かないと……」
たった1行しか書かれていない便箋を丸めてゴミ箱に捨てると、新しい便箋を用意して、
再び書き始めた。
「前略、拝啓、Dear……、えーとどれにしようかな。でも、前略や拝啓だとなんか堅苦し
いし、かと言ってDearじゃなんか軽々しいわ。普通でいいや」
――榊さんへ。
私の勇気がなくて想いを口にできないために、こうしてお手紙を書くことをお許しくだ
さい。でも、どうしても私の気持ちを、この切ない想いを知って欲しいのです。
私は初めて逢ったときから、榊さんのことが気になっていました。最初はちょっとした
憧れだったんですが、次第にその想いが昂ぶり、いつしかあなたのことが頭から離れなく
なってしまいました。私の想いはいつしか恋心へと変わっていったのです。
体育の100メートル走で誰よりも速くゴールへ駆け抜ける姿、授業中や休み時間にどこ
か淋しそうな表情を浮かべながら外を見つめる姿など、あなたの全てが気になってしまい、
瞳を閉じてもその姿が蘇っています。私の心の中は榊さんのことで満たされて今にも溢れ
出しそうなのです。もう、他の事なんて考えられないくらいに。
最初はその姿を見られるだけでも幸せと感じていました。でも、この頃はそれだけでは
物足りなくなってしまいました。もっと近くであなたの姿を見つめていたい。もっとおし
ゃべりしたい……例え、見つめ合ったときに上手く言葉が出なかったとしても、もっと榊
さんを近くに感じていたいのです。
私、榊さんのことが、大好きです。一回だけじゃ物足りないくらいに、大好きで大好き
で大大大好きです!もう、榊さんなしには私の生活が成り立たないほどに大好きです。
502 :
メジロマヤー
◆HFDLMAyar6
:2004/02/14(土) 11:29 ID:???
同じ女性だからって私、決してくじけません。あなたに私の思いが届き、それに応えて
くれる日まではずっとあなたを想い続けています。そんな壁を打ち破るほどに私の想いは
強く、固いのです。私のこの想いが榊さんに上手く届くかは分かりません。だけど、この
止まらない気持ちだけは知って欲しいのです。
「そのくらい、私は榊さんのことを心から愛しているのです……って、何か段々変な方向
に行っちゃったような気がするわ」
この段階まで書いたときに、ふと最初から読み直し、次第に自分の思いが暴走している
ことに気がつき、思わず顔を赤らめた。
「思いつくままに書いたらこんな風になっちゃった……。これじゃ、また出せそうにない
わね……。でも、この文章を基に新しいラブレターを書けばいいかな。とりあえずこれは
取っておこう」
かおりんはため息をつきながら、机の引き出しを開けた。ギーッという少し引きずった音
とともに、引き出しの中から今まで書き留めていた分のラブレターが顔を出している。
その数は2、3通ではなく軽く2桁は越えそうなほどだ。
「いつになったら、私の想いを榊さんに伝えることができるんだろう」
今まで出せずにいたラブレターの束を見つめたまま、またふぅとため息をつき、引き出
しの一つを完全に占拠している束を整理し始めた。
「でも、この手紙の分だけ榊さんへの想いが詰まっているんだわ。いつかこの想いが詰ま
った私の集大成とも言うべきラブレターを榊さんに届けるわ」
今日書いたものを含めたラブレターの束を整理し終え、再び引き出しの中にしまうと、
かおりんは椅子から立ち上がり、ベランダに出て夜空を見上げた。わずかながらに見える
星が夜空を照らしている。
「流れ星でも出ていないかなぁ……。もし、流れ星が出ていたら、榊さんが私のことを…
…、いやそんな都合のいいことなんて叶う訳ないわ。せめて、この想いを届ける勇気だけ
でも私に与えて欲しいんだけどな……」
物寂しげな表情を浮かべたまま、夜空にちりばめられたかすかな星を探してみた。しか
し、流れ星は見えず、その気配も全く感じられない。
「いや、自分の気持ちは自分で伝えないと……。いつか必ず榊さんに私の想いを届けてみ
せるわ!」
そう強く心に決意して、今日はもう眠ることにした。いつか自分の想いが届き、それが
叶う日を夢に見ながら……。
(完)
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