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20の倍数がSSを書くスレ

480 :紅茶菜月 ◆5xcwYYpqtk :2004/02/05(木) 21:57 ID:???
とりあえずげっと。

481 :紅茶菜月 ◆5xcwYYpqtk :2004/02/05(木) 23:36 ID:???
二次試験

「ともちゃ〜ん、出来たぁ〜 」
 試験会場から駅へと続く並木道――
 帰路につく受験生の集団を眺めながら、少女は問いかけた。

「うーん。だめだ〜 」
 灰色がかった雲の間から、微かに陽が覗いているものの、
真冬の風は突き刺すように痛く、冷たい。
 マフラーに首を埋めたもう一人の少女は、身体を震わせながら
大きな溜息をついた。白い塊が生まれて吹き流れていく。

「あかんのん? 」
「ほら、問3があっただろ」
 智は、人差し指を口元にあてながら言った。
「あー 」
「あれが分からなくって、時間がなくなった」
 彼女の表情からは、後悔の色がありありと出ている。

482 :紅茶菜月 ◆5xcwYYpqtk :2004/02/05(木) 23:36 ID:???
「時間配分って大切だよな〜 」
「そやな〜 」
 分からない問題は置いて、次に取り掛かること。
 試験の原則が脳裏に浮かんでくるが、今更どうなるものでもない。

「ところで、大阪はどうだったの? 」
「あー 私なー 」
 大阪は、枝がむき出しになった街路樹を見上げながら、ぽつんと呟いた。
「ようわからへん」
「どういう事よ 」
「出来たか出来へんかったんか、わからへんねん」
 こちらは、さして困ってなさそうな様子である。
「それは問題…… なのか? 」
「どやろ」

483 :紅茶菜月 ◆5xcwYYpqtk :2004/02/05(木) 23:37 ID:???
 暫く進んでいくと、ふいに銀杏並木が途切れる。
 智が後ろを振り返ると、ついさっき通ったはずの校門は
街並みに紛れて消えてしまっている。
「あのさー 」
 肩まで髪を伸ばした少女を見つめながら、彼女は口を開いた。
「ん?」
「大学、受かるといいな」

「そやな〜 」
 大阪は口元を緩ませながら言うと、とてとてと智に近づいていき……
冷え切った掌を握り締めた。

「な、何!? 」
 クラスメートの思いがけない行為に、裏返った声をあげてしまう。
「うわぁ、ともちゃん赤くなっとる〜 」
「ば、馬鹿! 」
 悪戯っぽく見つめる大きな瞳から逃れようと、智は思いっきり顔を背けた。
 しかし、繋がった手までは離そうとはせずに――
(一緒にいけるといいな)
 と、微かに伝わる温もりを感じながら、心の中で呟いた。

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