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185 :
なも
◆v4K6TB303w
:2003/05/27 01:18 ID:teKu2oOM
「こうやって回せば判るって教えてくれたのって,よみだったよね…。」
調理実習の時間,献立の一つであるカニタマの卵を割りながら智はつぶやいた。
小学校4年生の時に一度,自分の家のタマゴをいくつかゆでたまごにして,
それを冷蔵庫のタマゴ入れにいれるイタズラをしたら,
見事に智はおかあさんに頭を「おぼん」ではたかれていた。
どうしようも無くなったのでよみと一緒に冷蔵庫のタマゴがどれがゆでたまごで,
どれがなまたまごか判別する事になった。
当然,智は「全部食べればいいじゃん!」と言ってのけたので,
もう1発おぼんでぶたれていた。
半泣きの入った智を尻目に,よみはクルクルとテーブルの上で,
タマゴをスピンさせて躍らせていた。まるで,フィギュアスケートのように,
軽やかにテーブルの上を縦軸に回転しながら滑って行く。
やがてタマゴはリンクとは違い壁の無いテーブルの隅から外れ,
床へと吸い寄せられるように落ちていった。
「くしゃ…」
柔らかくタマゴのカラが割れる軽い音とともに,タマゴに一条のヒビが入った。
テーブルの高さは智の肩ほど,大体1メートルぐらいであろうか,
その高さから落ちても,タマゴはその楕円をわずかに歪めたにとどまった。
「まずコレだな。割れちゃったから食べちゃおう!」
「おい智!いいのか?おばさん,いいですか?」
私がそう聞いている間にも,もしかするとさっきタマゴを回転させている間中,
智は塩のビンを握り締めていたのだろう,あっというまにカラをむき,
そして雪原に子雪をまわせるかのように,塩をパラリとふりかけかじりついた。
満面の笑みを浮かべる智の表情は,かじった跡から見える,
黄色い,タマゴの黄身の中央に少しだけ残るオレンジ色とともに,
そのゆでタマゴが最高のタイミングで茹で上げられたことを証明した。
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