あないなそ717雑談スレ 717番目

600 ：伯爵：2006/06/10(土) 21:50 ID:???

甚平の最後

　彼がそういったのは、敵の究極要塞が地球の空を覆った時でした。
　最後の戦いの前に、彼は妙に澄んだ目で言ったのです。
「戦う事ばかり覚えてきたから、この戦いが終わったら、俺学校行こうと思うんだ。みんなからはバカにされるかもしれないけれど、そんなのも、いいかなって」
　どうしちゃったの？　と私が尋ねると、神妙な顔つきで、彼が。
「結婚してくれないか」
　というのでした。私は嬉しいのと驚いたので、こわばってしまっています。甚平はそんな私の左手の薬指に、指輪をはめて。
「これはおふくろの形見なんだ。預かっておいてくれないか」
「かっこいい死に方なんて、しないでよ」
　震える声で私が言うと、
「俺は金にならない戦いはしない主義なんだ」
　なんておどけた声で。

　けれど究極空中要塞の中で、敵の最後の刺客、ファイナルアサシンが襲ってきたのです。
「行け！　ここは俺が食い止める！！　」
「でも、あたなが！！　」
「心配すんなって。命がやばくなったら、とっとととんずら決め込むさ」
　私達は甚平を残して、敵のコアに向かって駆け抜けます。
「へへ……。ちょっとばかし、マジにならねえといけねえみたいだな」

　そういう彼の声を聞きながら……。


　三日後、甚平は食あたりで死にました。