お前知らねーのかよ！？雑談ってすげーんだぜ？＋509＋

573 ：◆U6TearALOE ：2004/08/14(土) 03:44 ID:???

「あれ」
皿の上に残った一個のおまんじゅうを前に暦と智は固まってしまった。
智の位置からは眼鏡のレンズが光を反射して暦の目の色は伺えない。
「仕方ない……ダイエット中のよみに代わって」
「こらぁ、待てぇ！」
暦のチョップがおまんじゅうをひっ掴んだ智の手にびしっと決まる。
「きちんと割り切れるように買ってきたんだ。桜餅と大福と栗まんじゅう。なんで一個余る？」
「えーと、キャトルミューテーションだっけ？ほら、さっき二人でトイレ行った隙に」
邪気のない顔で言い放つ智につい暦もつられて笑ってしまう。
「こらーこらー、そんな訳ないだろう。どこで覚えてきた、そんな単語」
「まあ、ともかく、仲良く分け合っていただこうじゃないか」
「ＯＫ」
暦は手でおまんじゅうを二つに割って半分を智に差し出した。
「あああああ」
智が突然あげた大声に、暦は二つに割ったおまんじゅうを取りこぼしてしまいそうになりお手玉状態に陥る。
「な、なんだよ急に」
「よみがおまんじゅうを割っちゃった」
「へ？」
「恋する二人ならここはポッキーゲームだろ。ほら、口と口でおまんじゅうを挟んで」
「はあ」
暦は智には付き合いきれんとばかりに割ったおまんじゅうを頬張る。
そんな暦の態度に智は意地になり、半分に割ったおまんじゅうを口に咥えて目をつぶる。
「ほら、食べ物で遊んでないで、真面目に」
暦は智の口からはみ出したおまんじゅうを指でつついて食べさせ、全く相手にしない。
すかさず智はポケットから出した新しいおまんじゅうの包装紙をはがして咥え首を伸ばす。
「やっぱりお前かよ!」
暦は智の口からおまんじゅうを半分ちぎって口にする。
智は子どものような表情でしょげ返る。
「よみはさ、ロマンってもんが分かってないよ……ねぇ」
「ロマンじゃ腹は膨れないだろ。でも……」
暦は智の顔を両手で包み、顔を寄せ
「マロンならどうだ？」
最後の栗まんじゅうに入っていたマロングラッセを口移しで智に半分分けてやった。