物凄い勢いで雑談するスレ289

614 ：伯爵：2004/01/25(日) 00:23 ID:???

　血まみれの私に彼女は微笑む。
「また一日そんな事してたのね」
「……恐縮です」
　がさがさの私の首を彼女が撫でる。
「うらやましいわ。若いって」
「……お姉さまも変わらないではありませんか」
　その言葉が言い終わらぬうちに、扉が開いた。十二時が来たのだ。
「あら、あなた」
「うるさいばいた、このへんたいめ、ばつをあたえてやる」
　銃声一発。彼女の体を覆う血染めのヴェール。
　その後すぐに、元旦那は自分の頭をぶち抜いて邪魔な置物になる。
「かたしましょうか？　」
「いいのよ。朝が片付けてくれるんだから」
　これからまた愛し合いましょう。それは賛成ですけれど。
「いい加減一緒に住みましょうよ」
「あら、頭に穴の開いた女は嫌い？　」
「その程度で曇るお姉さまの美じゃありません。好きだから
一緒にいたいってだけです」
「でも、あの人がいるからねえ」
　毎晩殺しに来るだけじゃないですか、もうとっくに破綻してる
でしょう。ふふ、夫婦ってそんなものばかりじゃないのよ。死ん
でも好きってことですか？ 好き？　まさか。
「今はあなたが一番よ」
　噂の主の片目は、月の光で出来ている。　
　今夜もあの人の赤い赤い唇は。
　私の新しい唇にキスをする。

　　　　　　　　　　　　　　　了）