物凄い勢いで雑談するスレ289

494 ：伯爵：2004/01/24(土) 23:35 ID:???

　あそこには誰か住んでいるとの噂。
　私は知っている。
　片付けられた廃屋の中で。
　奥の奥の間にあの人は座っている。
「あら、いらっしゃい」
　婦人は温かい紅茶を入れてくれる。優しい紅茶の香り。
「こんにちわ」
　月の明かりが今日も明り取りの窓から入る。
「さあ、話を聞かせてちょうだい。あなたは今日何をしていたの？　」
「まだ、旦那さんの代わりにはしてくれないんですか？　」
　豊かな乳房の婦人は困ったように微笑んだ。
「あの人の代わりには誰もなれないわ。あなたはあなた、
あの人はあの人」
　婦人は私の首筋に指を這わす。華奢な私の首はそくそく
震えて。私は後ろに身をそらして。
「それは、後です。まだ……早いでしょう」
「そうね。今日も聞かせて欲しいわ。あなたの話」
　はい。私は話し始める。今日あった出来事を。
　私の退屈な毎日の出来事を。