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物凄イ勢イデ雑談スルスレ 其ノ260

907 :八八艦隊司令大阪さん:2004/01/05(月) 22:07 ID:???
コツコツと靴音を響かせ、階段を一つまた一つと登って行く少女……
その少女の黒髪は、柳のように腰まで垂れ下がり、その目は鋭く厳しい。
少女の名は榊… どこかの高校の制服を着ているが、
その手にあるのは学生鞄ではなく、大きな釣竿ケースだ。
屋上までたどり着くと、彼女はポケットから小さな写真を取り出す。

「……花田春樹……幹部か……」

そう呟くと釣竿ケースから一丁のライフルを取り出した。
その上には大きなスコープ。下にはバイポッドがついている。

「ここからあの道までの距離は……800mか……M40なら…たぶん大丈夫だ……」

バイポッドを開き、壁の上に銃を立て、銃を握りスコープを覗く。
榊の目に、十字のレクティルが映し出された。
ストックを肩にしっかりと固定し、膝立ちのまま静かに時を待つ。
20分ほど経った頃だろうか… スコープに一台の車が入ってきた。
瞬間、ドスンという反動が榊の肩に伝わった。そして車の窓が血に染まったのが確認できた。

ふぅ… と大きく息を吐き、静かにバイポッドを折畳む。
銃を釣竿ケースにしまうと、榊はその場を後にした。

ビルを出たところでふいにネコと出会う。

「……おいで…」

しゃがみ込み、精一杯の笑顔でネコを呼ぶ。
手を差し出すとネコはその手の臭いを嗅ぐ…
次の瞬間にはネコの口から榊の手が生えていた。
痛みを感じる頃にはネコはぷいっと何処かへ消えてしまっていた。
噛まれた手を眺めながら榊は友人の言葉を思い出した。

  手から魚の臭いでもするんじゃないか?

そして一人笑いながら呟く。

  ほんとうは……魚じゃなくて……硝煙の臭いなのに……

釣竿ケースが異様に重く感じた瞬間だった。

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