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ラウンジキャラたちが活躍するおはなし

317 :楊痣 ◆5KxPTaKino :2004/03/10(水) 04:46 ID:???
【あずラウンジであった怖い話】
――誰の話を聞こうか?

  タキノ13
  tsx
 了ICPO@【☆彡バイジァオ!!☆彡】
  Mizuma
 →さかちー 
  (・∀・)イイ!

318 :楊痣 ◆5KxPTaKino :2004/03/10(水) 04:46 ID:???
第1周  二人目  さかちー

「はじめまして。俺はさかちーといいます。
 2年O組に所属しています。よろしく」

 黒髪の小柄な美少女が言った。
 一人称が「俺」なのは、男ばかりの環境で育ってきたために違いない。

「怖い話、ねえ……。
 俺はもともとそういうのはあんまり好きじゃないんですけど、あずみん先輩に
頼まれたからには、協力しないわけにはいかないからなあ」
 そういうと、さかちーさんは、細い顎の先に掌をあてて少し考える様子を見せ
たが、やがて顔をあげて話を続けた。

「俺、レンタルビデオ屋でアルバイトしてるんです。
 それで、よく夜中に店内にひとりきりになることがあるんですけどね。
 夜のビデオショップはそこはかとなく不気味ですよ。
 誰もいない店内に、静かに流れるクラシックのBGM。
 カウンターで手持ちぶさたに時間の過ぎるのを待ってると、色々な妄想が頭を
よぎってしまうんです。
 みるちーとゆかちゃんが、プール脇の更衣室で……おっと。
 そんな話はおいといて……

 店内に並ぶビデオテープの量は膨大です。
 背の高い棚にぎっしりつまったテープたちが、無言で俺を見下ろしている。
 疲れててぼんやりしてるときなんか、よく、棚がこっちに迫ってくるような
感じがして、はっとさせられることがしばしば。勿論、気のせいなんですけどね。(1/6)

319 :楊痣 ◆5KxPTaKino :2004/03/10(水) 04:46 ID:???
 まあ、そんなことは俺の眠気の産物ですから、別段怖い話でもないんです。
 でも、最近、すごい奇妙な体験をしたんですよ。

 うちのビデオのラベルは、11文字までしか文字が印刷されないんです。
 だから、タイトルが11文字以上の作品は題名が省略されます。
 たとえば、『ドッキリ盗撮動画集 女子校生生撮りパラダイス』ならば、
『ドッキリ盗撮動画集 女』までしか表示されない、というわけです。
 だから、『劇場版 ウルトラマンコスモス』の場合、……どうなるかわかりますか?」

 僕が意表をつかれて黙りこんでいると、さかちーさんは笑って話を続けた。
「すいません、ちょっと話がわき道にそれましたね。
 俺が体験した怖い話というのは、その夜勤のときの出来事なんです。

 その夜も、俺はひとりで店番をしてました。
 掛け時計のさす時刻は11時前。
 そんな時間にビデオなんか借りに来る人もそういないし、返却されたテープの
整理もとっくにかたづいたしで、俺は閉店時刻を待ちながらぼーっと炉百合SS
のネタなんかを脳内で練ったりしていたわけです。

 何かが目の前を横切ったような気がして、はっとしたんです。
 あれ、お客さんかな、って。
 うちの扉は、誰かが入ってきたときにチャイムが鳴るようになってるんですが、
ぼんやりしてたから聞き逃したのかもしれない。
 それで、店内を見回してみたんですが、誰もいないんです。     (2/6)

320 :楊痣 ◆5KxPTaKino :2004/03/10(水) 04:47 ID:???
 おかしいな、と思って、一応棚の列の後ろを覗いて確認してみたんですよ。
 でも、誰もいない。
 でも、確かに、さっき目の前を誰かが横切ったんです。
 暖簾で仕切られたアダルトコーナーが、唯一まだ調べてない箇所でした。
 だから、俺はそっと暖簾をあげて中を覗いてみたんです。
 でも、誰もいない。
 棚の後ろ側にもまわってみましたが、誰もいないんです。
 俺の気のせいか、疲れてるんだなと思いながらレジの方に戻ると――

 いたんです。
 レジの向こう側に、小さな女の子が立ってました。
 俺と目が合うと、目を線のようにしてにこにこ笑って、
『おねーちゃん、あそんでー』
 と言ってきました。
 こんな時間にこんな場所にこんな少女が――と、訝しく思いました。
 そこで俺はその子に訊いてみたんです。
『こんな時間に何してるの? お母さんとかはいっしょじゃないの?』
 そしたら、その子は言うんです。
『あと30分したら迎えに来てくれるって』
 今考えると、レンタルビデオ屋に子供を待たせるなんて変な親だな、と思うん
ですが、そのときの俺は別段不思議にも思わずに、その子の母親が迎えに来るま
でいっしょに遊んでやろうと言ったわけです。女の子は喜びました。   (3/6)

321 :楊痣 ◆5KxPTaKino :2004/03/10(水) 04:47 ID:???
『それじゃあ、これで遊ぼうよ』
 そう言って、女の子は、カウンターの下からオセロの盤をとりだしました。
 俺もオセロは得意なほうだったので、
『おねーちゃんは強いぞぉー』
 とか言って相手になったわけです。

 一戦目は、彼女が勝ちました。
 ひとしきり子供らしく喜んだあと、にやりと笑って
『それじゃあ、一枚服を脱いで』
 と言ってきたんです。
 負けた者が一枚ずつ服を脱ぎ、先に裸になった者が負け――それがルールだと
その子は言い張りました。
 そんな馬鹿なルールがあるか、と俺は思っていたんですが、気がつくと俺の上
着が消えていて、俺は上半身Tシャツだけになってる。
 不思議がる俺に、彼女はもう一度勝負を挑んできたんです。

 二戦目は、俺が勝ちました。
 少女のセーターが空中に消えました。
 三戦目は、彼女の勝ち。
 俺の靴が消えて、俺は床に素足で立たされました。
 四戦目も、彼女の勝ち。
 俺のシャツが消えて、俺は上半身ブラだけになってしまいました。   (4/6)

322 :楊痣 ◆5KxPTaKino :2004/03/10(水) 04:47 ID:???
 こんなときにお客さんが来たらどうしようと、俺はめちゃめちゃ焦りました。
 一刻もはやく服を着たかったんですけど、不思議なことに、脱いだはずの服が
辺りに見当たらないんです。
 こうなったらとっとと決着をつけて服を着るしかない。
 俺は決心して、手加減なしで彼女に挑んだんです。
 俺はその後三連勝しました。
 彼女の靴が消え、シャツが消え、スカートが消えました。
 残るは、かわいいクマのキャラクターがプリントされたピンクのパンツだけです。

 そして、八戦目が始まりました。
 一手目、白の石を裏返した後、ふと彼女の顔を見たところ――
 彼女の顔がどろどろに融けてるんです。
 ただれた皮膚がだらりと垂れ下り、眼窩から押し出された目玉がぎょろりと
こちらを向いています。石を裏返している間も、彼女の目は盤を見ていないん
です。歯茎までむきだしになった口からは赤い舌、熱い息。黒く焼け焦げた頬
からうっすらと覗く白い骨。
 その顔が、じっと俺を見つめながらオセロを打ってるんです。
 逃げ出したかった。
 でも、駄目なんです。
 足が動かないんです。
 一手、一手、盤を石が埋めていくたび、彼女の顔の崩れ方はひどくなり、俺と
彼女の顔の距離は狭められていく。彼女の吐く熱い息が、俺の頬にかかってくる。
 早く、早く終わらせたい。一秒でも早く終わらせて、このゲームから解放され
たい。その一心で、俺は必死になって盤を見つめ、黙々と石を裏返し続けました。
 そして、最後の角を自分の石で埋めたのです。
 黒石にはさまれた彼女の白石を、震える指でひとつひとつ裏返していきました。
 白かった盤が、みるみるうちに黒く染まっていく。 

 最後の一枚を裏返したとき、少女は、腹の底から響くような声で言いました。
『私の負けね……』                         (5/6)

323 :楊痣 ◆5KxPTaKino :2004/03/10(水) 04:47 ID:???
 パンツが消え、そして同時に少女の身体も空中に消えていきました。
 張り詰めていた心のたががふっと緩んで、俺はそのまま床に倒れてしまったのです。

 閉店時間にやってきた店長に助け起こされ、俺は意識を取り戻しました。
 おかしなことに、俺はちゃんと制服を着ていて、先ほどまでカウンターの上に
あったはずのオセロ盤もどこかに消えている。
 俺は、さきほどの少女のことを店長に話しましたが、てんで聞いてもくれませ
んでした。貧血起こして倒れて夢でも見てたんだろう、もっと健康管理には気を
つかえ、と、逆に叱られてしまったんです。

 気になった俺はあとで調べてみたんですが、あの店の建っているところには
昔、共働きの両親とオセロ好きの女の子の三人家族が住んでいたらしいんです。
そして、女の子が留守番してるときに火事が起こって、逃げ遅れた女の子は死んで
しまったとのこと……。
 あの子は、仲間が欲しくて俺をオセロに誘ったのかもしれない。
 もし、俺が負けて裸になってたら、彼女に連れて行かれてしまってたかもしれない。
 そんな風に、思うんです」 

「これで、一応、俺の話は終わりです」
 さかちーさんは語り終えた。
「それも君の夢だったんじゃないの?」
 大人びた顔の生徒が口を挟む。
「夢だったら、ありがたいんですけどね……。  
 俺のバイト仲間も、見たらしいんですよ。彼女を。
『なんか変な女の子がオセロ勝負を挑んできたよ!』ってメールが、夜中に俺の
携帯に届いたんです。
 それ以来、そいつはバイトに顔を見せてないんです。電話しても出ないし。
 きっと、負けて連れて行かれたんですよ……
 おかげで、俺が夜勤にあたる頻度が増えてしまって……いつまた彼女が現れる
かとひやひやしてます」                       (6/6)

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