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物凄い勢いで雑談するスレ 74(名無し)さん

286 :なも ◆v4K6TB303w :2003/06/05 01:30 ID:???
とりあえずこれだけ書けた〜。

 「ここに来れば…一時でも忘れれると思ったのに…」

 空を流れる入道雲を眺めながら,そして周りで,ビーチで無邪気に遊ぶ友達を眺めながら,
神楽彪乃は忘れたいけれど,捨て去ることの出来ない記憶を脳裏に照らし出した。

 2年生のクラス換えで前のクラスの友達とは別々になり,
新しいクラスで自ら良きライバルと認めていた榊に誘われて,
参加したちよちゃんの別荘での夏合宿。

 夏休みは水泳に全てをかけようと思っていたのとうって変わって,
友達と一緒に入れる濃密な時間が取れたのは何よりも幸運だ。
だけど,この合宿に参加したのは,ただ「楽しい」からだけではない,
少なくとも神楽彪乃にとっては。

 高校に入ってから,神楽彪乃は恋をしている。
しかしながら,だれにもそのことを打ち明けられず,一人,その思いを胸にしまいこんでいる。
理由は二つ。まず一つ目は,その恋の相手が相手であること,そして2つ目は,
その恋は実ることは無いからである,つまり,失恋が約束されているからである。

 このことは神楽彪乃自身がいちばん良く知っている。だからこそ,
この恋を一時でも忘れたかった。そのために,合宿に参加したともいえるのに。
しかし皮肉にも,このゆったりとした時の流れは,日ごろ部活に全力で打ち込んでいる,
非常に早い,駆け抜けていく時の流れで生活していた神楽にとって,
逆に忘れたい記憶を思い出す事となった。

 一時でも忘れたい。後ろの陸の方に目をやると,ちよちゃんがスイカ割の準備をしていた。

「やっぱり…遊ばないと,忘れれないかな…。」

 そう思った神楽綾乃は,立ち上がり,肌についた砂を落として,
ちよちゃんの方へと駆けて行った…。

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