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物凄い勢いで雑談スレinあずラウンジ GTR-34
562 :
天下一安梨沙
◆udzxzxzouc
:2003/04/15 23:00 ID:???
「洞戸村の思い出」 殊能将之
『美濃牛』は生まれて初めて取材旅行に出かけた、思い出深い作品である。
奇妙な題名はギリシア神話のミノタウロス(「ミノス王の牛」)のもじりだが、では美濃牛とはいったいなんなのか。
そこで『美濃・飛騨の伝説』という本をあたると、洞戸村に藤原高光が牛鬼を退治した伝説があることがわかった。高賀神社には高光公の銅像があるらしい。
ははあ、美濃牛とはこれのことか。ということは、舞台は洞戸村なんだな。
というわけで、1999年夏、洞戸村まで旅行した。石動くんたちは岐阜市からレンタカーを使うけれど、わたしは運転免許証を持っていないので、バスに乗った。
着いてみると、洞戸村は実にすばらしいところだった。板取川の水はエメラルドグリーンに輝き、山は緑に覆われ、林道わきの杉林はまっすぐ幹を突き立てている。
しばらくあたりを散策し、写真を撮ったあと、高賀神社にお参りして、高光公の銅像を見物した。高光公はひげ面のこわもてで、鵺のような格好の妖魔にまたがり、大ぶりの太刀をかまえている。本当にこの人は三十六歌仙なんだろうか。
帰宅後、作品の時期設定を1999年9月に決め、物語のタイムスケジュールをつくった。老人が出てくる話だから、最初の事件は敬老の日に起こすことにした。
タイムスケジュールができあがったら、ふと妙なことが気になった。時期は1999年9月、舞台は岐阜県ということは、天気が確定してしまうではないか。小説だからそこまで気をつかうことはないのかもしれないが、やはり気になる。
そこで9月に入ると、毎日、岐阜県の天気を記録することにした。だんだん9月15日が近づいてくる。さて、事件発生の日はどういう天候だろうか……。
そうしたら、1999年9月15日、台風16号が岐阜県を直撃したのである。
わたしは濁流と化した長良川をニュースで見ながら、呆然としていた。これはどう考えても、悠長に事件の捜査をしている場合ではないだろう。
しかし、台風が来たのは事実だから、しかたがない。そういうわけで、首なし死体は嵐のなか、発見されることになった。
わたしはおおむねこのように、行きあたりばったりに小説を書いております。
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