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ものすごい勢いで雑談するスレ 26期目

311 :うちゅー ◆ZzAZUxozdw :2003/04/02 00:14 ID:???
 年明けの初登校。
 いつもの連中、いつもの時間、いつもの場所。
 心地よい。
 そんな空間を満喫し、家に帰った。
(けっきょく、熊の親子のことは言えなかったな……)
 そもそも「旅行」自体が嘘である。北海道にいた期間は1週間以上に及ぶ。真実の多くをオミットし、楽しいことしか語っていない。
(それが私らの間じゃ似合ってるからなあ)
 仲間内ではけっこういろんな話をするはずだが、なぜかみんな幸せなことしか語らない。本当はいろんな悩みとか問題とかがあるはずなのに、智からして高校にあがってからは幸せ者のふりをしているように思えてならない。
 いや、それはそれでいい。
 仮面かもしれない。虚構かもしれない。
 だが、それは皆が望んでいることなのだ。

 不文律。

 その細いバランスの上で語らい、どつき合い、楽しい思い出だけを凝縮させてゆく。
(私たちはピエロなのかも知れない――そんなのでもいい。それを望んだ者だけが自然に惹かれ合い、演じているんだから)
 演じていれば、それが真になるだろう。どうせ残るのは凝縮だけだ。

 ふとテレビをつけると、北海道で暴れ熊親子射殺のニュースが映っていた。
「あのときの……」
 小熊は助かったようだが、動物園に送られたらしい。
「…………」
 なんだかやるせない気分になってテレビを切る。

 あの熊は、暴れているのも真実だろう。だが、よみに見せた面も真実なのだ。表裏一体、どちらを見るかで気分も、世界も、人も、すべてが変わる。
「そう……これでいいんだ」
 よみは自然に流れ出た涙を拭った。
(なんだか拭ってばかりだな)

 よみは葉書を出して、すらすらと書き始める。
「涙のダイエット少女です。このあいだ北海道で……」
 これはメルヘンだ。おそらく採用されることはあるまい。
 だけど実際に起こったことだ――
 信じる信じないなど、誰にも求めない。
 だからせめて、文章にしておきたい。
 チョコレート好きな熊の親子のことを……
                        END


……シリアスになってもうた。

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